なぜ日本の更年期医療は遅れているのか

今日は、多くの方からご質問をいただく「日本の更年期医療」について、お話ししたいと思います。

私自身は、ヨーロッパの文化で生まれ育って、日本に移住しました。日本に来日してからずっと「日本の医療はきめ細やかで、最先端。素晴らしい!」と思っていたところ、更年期を経験し、全く適切なケアが届いていない現状に愕然としました。

しかも皆さん、職場に迷惑をかけるから言えない、自分の体のことを話すのは恥ずかしいと言う方が多くいらっしゃるのです。私の育った母国ベラルーシでは更年期に対するタブー感はなく、上の世代からの話もよく聞きますし、女性たちは自分のことをよく話します。

この経験から、なぜ日本の更年期医療が他の先進国と比べて遅れているのか、そしてこれから何が必要なのかをお伝えしたいと思います。

この記事でわかること:

  • 日本と欧米の更年期医療の普及率の違い
  • なぜ日本のHRT(ホルモン補充療法)普及率は2〜5%と低いのか
  • 医療制度・文化・社会的背景の5つの違い
  • 日本の更年期医療に必要な改革
  • ビバエルのオンライン診療がどう役立つか

驚くべき数字の差:日本と海外の更年期医療普及率

まず、数字を見てみましょう。この差に、私自身も衝撃を受けました。

ホルモン補充療法(HRT)の普及率 [1]

  • イギリス: 約30〜40%
  • オーストラリア: 約15%
  • 日本: わずか2〜5%

この数字を見て、どう感じますか?

日本では、100人の更年期女性がいたら、ホルモン補充の治療を受けているのはたった2人ほど。一方、欧米では30〜60人が何らかの治療を受けているのです。これは単なる数字の違いではありません。「つらい症状を我慢している女性」と「適切なケアを受けて自分らしく生きている女性」の違いなのです。

なぜ、こんなに差が生まれたのか?

1. 医療制度の違い

日本の保険診療

日本の医療は「保険診療」が中心です。これは素晴らしいシステムですが、更年期医療においては時間的な制約があります。多くの婦人科では、診察は通常10分間。この短い時間で、更年期の複雑な症状を整理し、一人ひとりに合った治療を提案するのは難しいのが現実です。

ヨーロッパ(イギリスNHSの例) 

イギリスには原則無料のNHS(国民保健サービス)がありますが、診察時間は10分間隔の予約制NHS公式サイトBritish Journal of General Practice, 2015)で、日本の保険診療と大きく変わりません。

しかも予約が非常に取りにくく、専門医を受診するには数ヶ月待ちということも。

では、なぜホルモン補充療法(HRT)普及率が高いのでしょうか?

答えは「プライベート医療」の活用です。更年期の治療を真剣に受けたい女性は、有料のプライベートクリニックを利用します。そこでは45分の丁寧な診察、専門家によるカウンセリング、個別化された治療プランが提供されます。つまり、自己負担を払ってでも、質の高い更年期ケアを受ける文化があるのです。

アメリカ

アメリカでは時間をかけた診察が受けられますが、医療費は非常に高額です。保険でカバーされても自己負担が大きく、経済的な余裕がないと十分な治療を受けにくいという問題があります。それでも、30年以上前から大規模な更年期研究が行われ、治療のエビデンスが蓄積され、更年期医療の重要性が社会に浸透しつつあります。

2. 情報の伝わり方の問題

2002年、一つの研究報告が日本の更年期医療に大きな影響を与えました。

アメリカのWHI(Women's Health Initiative)研究の中間報告で、「ホルモン補充療法は乳がんリスクを高める可能性がある」と発表されたのです。この報道は日本でも大きく取り上げられ、医療従事者の間でもホルモン補充療法が危険なものであると、否定的に語られるようになりました

また、もともとピルに馴染みがなかった日本の女性にとって、このニュースは「ホルモン」という言葉そのものへの心理的ハードルをさらに高め、「ホルモン療法は怖いもの」という根強い拒絶感を植え付けるものとなってしまいました。

多くの女性にとって、ホルモン療法は怖いものという認識が浸透しました。

しかし、その後の詳細な分析で分かったことは:

  • 研究対象は平均年齢63歳と対象年齢よりも年上 (更年期はおよそ45〜55歳)
  • 肥満など健康リスクの高い女性が含まれていた
  • 適切な時期に適切な方法で使えば、むしろメリットの方が大きい

つまり、不完全な情報だけが広まり、正しい情報が届かなかったのです。

欧米ではこの研究発表の後に、中身がきちんと検証され、「若い更年期世代の女性には当てはまらない」という正しい情報が共有されました。一方で、日本では、その後の訂正情報があまり報道されず、「ホルモン補充療法は怖い」というイメージだけが残ってしまったのです。

3. 女性たちの考え方と社会の認識

私が特に感じるのは、日本と欧米での「更年期に対する捉え方」の違いです。

欧米では:

  • 更年期は自然な人生のステージ
  • オープンに話題にされ、職場でも(ある程度は)理解がある
  • 「我慢する」のではなく「治療する」ことが(比較的に)当たり前
  • セレブリティも自らの経験を発信(グウィネス・パルトロウ、アンジェリーナ・ジョリーなど)

日本では:

  • 「年齢のせいだから仕方ない」
  • 「誰にでもあることだから我慢すべき」
  • 「恥ずかしい」
  • 「辛いの自分の努力が足りない」
  • 「女性ではなくなった」とショックを受ける方も

この違いは、個人の問題ではなく、社会全体の認識の差だと考えています。

日本人の更年期症状の特徴

実は、症状に関しても、日本人女性は欧米女性とは少し異なる特徴を持っています。

日本人女性の更年期症状の特徴 [2]

・ホットフラッシュは比較的軽度な人が多い
肩こり関節痛冷えが多い
・精神的症状(イライラ不安抑うつ)が目立つ

これらの症状に有効な治療薬は、ホルモン補充療法に加えて、漢方薬が特に有効なケースも多いのです。

これから必要なこと

では、日本の更年期医療を前進させるために、何が必要でしょうか?

1. 正しい情報を届ける

「ホルモン補充療法は怖い」というイメージの払拭

適切な時期(閉経10年以内に治療開始) に、適切な方法で使えば:

  • 更年期症状を効果的に緩和
  • 骨粗鬆症の予防
  • 心血管疾患のリスク低減
  • 生活の質の大幅な改善

もちろん、全員に適しているわけではありません。だからこそ、専門家による丁寧な診察とカウンセリングが大切で、適切にリスクとベネフィットを踏まえて使用するものと考えています。

2. 選択肢の多様化

ホルモン補充療法だけが答えではありません。

  • 漢方薬
  • サプリメント
  • 生活習慣の改善
  • カウンセリング
  • 栄養指導

一人ひとりに合った方法を、じっくり相談しながら見つけることが大切です。

3. アクセスしやすい医療体制

ビバエルがオンライン診療を提供しているのも、この理由からです。今はオンラインでどこでも繋がれる時代です。

  • 仕事や家事の合間に受診できる
  • 移動時間ゼロ
  • プライバシーが守られる
  • 十分な時間をかけたカウンセリング(約40分)

忙しい女性でも、自分のケアを諦めなくていい環境が可能になっています。

4. 社会全体の意識改革

職場での理解

  • 更年期は病気ではなく、自然な変化。だが、人によっては治療が必要。
  • 適切なサポートがあれば、パフォーマンスは維持できる
  • 更年期休暇や時短勤務などの制度

家族の理解

  • パートナーや子どもにも正しい知識を
  • 家事や介護の分担
  • 「我慢しなくていい」という理解

5. 女性自身の意識の変化

また、一番大切なのは、女性自身が自分を大切にすることだと思います。カウンセリングを通じて、多くの女性が「私が我慢すれば良い」「こんな迷惑かけて申し訳ない」と自分で自分を責める人が非常に多いことに気づきました。

  • つらい時は「つらい」と言っていい
  • 治療を受けることは、弱さではなく賢明な選択
  • 自分の健康は、家族の幸せにもつながる

最後に:あなたへのメッセージ

私も更年期で苦しんだ一人です。だるくて立ち上がれない日々、めまいや頭痛、そして何より「自分が自分でなくなっていく」という不安。でも、適切な治療を見つけたことで、今こうして皆さんのお役に立てる仕事ができています。

あなたも、一人で抱え込まないでください。

日本の更年期医療は、まだ発展途上です。でも、少しずつ変わり始めています。(私たちの活動もその一助なっていると信じています)あなたが一歩踏み出すことが、社会全体を変える力になります。

「これって更年期?」 「こんなことで相談していいのかな?」

そう思ったら、それがサインです。どうぞ、私たちビバエルを頼ってください。

あなたの「これから」が、もっと輝くために。 一緒に、前を向いて歩き出しましょう。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 更年期医療は何科を受診すればいいですか?

婦人科、または更年期専門外来がある医療機関をお勧めします。最近ではオンライン診療を提供する医療機関も増えています。

Q2. ホルモン補充療法(HRT)は安全ですか?

適切な時期に、適切な方法で使用すれば、多くの女性にとってメリットがリスクを上回ります。ただし、乳がんの既往がある方など使用できないケースもあるため、専門医による診察が必要です。

Q3. 更年期症状かどうか分からないのですが...

40代以降で、イライラ、ほてり、不眠、疲労感、関節痛、やる気が起きない、不安感などの症状がある場合は更年期の可能性があります。まずは専門家に相談することをお勧めします。

Q4. 治療費はどのくらいかかりますか?

保険診療の場合は比較的安価ですが、診察時間が短く、改善が限定的なことがあります。ビバエルの診療(自由診療)は初診で11,900円程度です。

詳細はこちらをご覧ください。

[1] 参考文献・情報源
・国内産婦人科クリニック「日本はHRT後進国か?」(欧米と日本のHRT普及率の比較)
・2016 Mar 23;11(3):e0146494. doi: 10.1371/journal.pone.0146494
Use of Menopausal Hormone Therapy and Bioidentical Hormone Therapy in Australian Women 50 to 69 Years of Age: Results from a National, Cross-Sectional Study
https://nhsbsa-opendata.s3.eu-west-2.amazonaws.com/hrt/hrt_June_2024_v001.html
・製薬会社「更年期障害の治療 ホルモン補充療法(HRT)海外事情」
・都市情報メディアの更年期特集記事(HRT普及率:欧米30〜40%、日本2%未満)
・世界のHRT普及率をまとめた資料(Maturitas 48:39–49, 2004 など)

[2] 参考文献・情報源
・厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」(2022年)https://www.mhlw.go.jp/content/000969166.pdf
・日経メディカル「更年期障害」2022年5月 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/guideline/202205/575067.html