更年期の症状は300にものぼるとされていて、自分自身の症状を正しく理解することはとても難しいです。

今回はビバエル代表カウンセラーのオリガ先生に、クライアントさまからの相談内容で一番多い「眠れない (寝つきが悪い、途中で目がさめる)」について詳しく話を聞きました。

ビバエルのクライアントさまの相談時の症状(複数回答あり)

順位症状・訴え訴えた人(%)
1眠れない (寝つきが悪い、途中で目がさめる)43%
2倦怠感・無気力・だるい28%
3肩こり22%
4頭痛20%
5不安・落ち込み20%
6性交痛・性欲がない18%
7汗・体温調整が難しい17%

更年期不調の症状第1位は、睡眠障害

── ビバエルを更年期不調で受診される方で、一番多く訴えられるのが「眠れない」というお悩みでした。更年期で眠りの課題が一番多いって少し意外だったのですが。

私も最初は驚きました。
私自身は更年期症状が現れてからもう10年弱になりますけど、疲れるとぐっすり眠れるタイプなので (笑)
クライアントさんからこの話を聞いたときは「えっ、そうなの?」って感じでしたね。

── へえ、意外だったんですね。

そうなんです。
でも、よく考えてみると納得できる部分もあります。
更年期というのは、女性ホルモンが大きく変動する時期なんです。特に、女性ホルモンと黄体ホルモンのバランスが崩れるんですね。

── ホルモンのバランスが崩れると、眠りにも影響するんですか?

その通りです。
本来、女性ホルモンと黄体ホルモンはバランスの良い比率があるのですが、更年期になって、あるとき女性ホルモンが急に多くなると、眠りにつきにくくなったりします。
また逆に、黄体ホルモンが少なくなると、眠りが浅くなりやすいんです。

ホルモンバランス以外にも原因が

── なるほど。でも、ホルモンバランスの乱れだけが原因なんでしょうか?

いいえ、それだけじゃないんです。
眠りに関する課題が多い人たちは、40代、50代の女性たちの生活環境も大きく関係しています。
この年代の女性って、仕事や家事、子育てなど、本当にたくさんの責任を抱えていますよね。
物理的に疲れるのもそうですが、精神的にいろいろやらなきゃって思ってる。

── 確かに、忙しい世代ですよね。

そうなんです。その忙しさのために、自分のケアができなくなっちゃうんです。
例えば、子どものお弁当を作るために朝4時や5時に起きる女性もいるんですよ。

── えっ、そんなに早く?

はい。私から見れば「なんで〜」って思います(笑)。
でも、みんな自分で弁当を作らなきゃって思っちゃうんです。

── そういえば、私の友達にもそんな人いますね。

そうでしょう?
これって、「べき思考」っていうんです。
「こうすべき」「ああしなくちゃ」って思い込んじゃうんですね。
特に、この世代の女性に多いんです。

── 「べき思考」ですか。なるほど。

そうなんです。この「べき思考」が、実は睡眠を妨げる大きな要因になっているんです。

── どういうことですか?

例えば、夜遅くまで仕事をして、やっと布団に入ったとします。
でも、頭の中では「明日の朝はあれをしなきゃ」「明後日までにこれを終わらせなきゃ」って考えが巡るわけです。

── ああ、わかります。私もよくあります。

そうでしょう?そうすると、なかなか眠れなくなっちゃうんです。
たとえ寝付けても、真夜中に目が覚めて、また同じことを考え始めちゃう。これが悪循環になるんです。

── 確かに。私も夜中に目が覚めると、仕事のことを考えちゃいますね。

そうなんです。
もちろん20〜30代の時からそういうこともあったと思いますが、特に更年期の女性は、ホルモンバランスの変化で起きやすくなっているところに、こういった心理的プレッシャーが加わるので、より睡眠障害が起きやすくなるんです。

── なるほど。ホルモンの変化と生活環境の両方が影響しているんですね。

その通りです。そして、これが毎日続くと、本当に辛くなってきます。
若い頃は一晩くらい眠れなくても何とかなったかもしれませんが、この年齢になると1度寝れなくて、またそれが続くと体力的にもきついんです。

対策方法は?

── 対策はあるんでしょうか?

もちろんあります。
私は眠れないっていうクライアントさんがきたら「何をする時楽しいの?」って聞きます。
その方が「友達と話すのが楽しい」って言ったら、じゃあ「友達と夜ご飯行って、楽しい会話をして、それでそのまま寝る、っていうのをやってみてください」って伝えてます。
え、それだけなの?って言われますが、実は楽しいことして、そのままリラックスしてから寝ることがとっても大事です。

── なるほど。何をしたらリラックスできるのでしょうか?

それは人によって違います。
まず自分の状況を理解することが大切です。
自分は「何がリラックスできるのか」「逆になぜリラックスできないのか」を把握することが一番。

── 自分で分析するということですか?

そうですね。
もちろん自分一人で分析するっていうのもなかなか難しいので、専門家に相談するのも良いですし、友達や家族に話すのも効果的です。
私も結構友達に電話して聞いてもらうことがありますよ。
そうすると結構すっきりします。

── なんでも話せる友達がいないのですが、どうしたら良いでしょう? (笑)

もちろん私も友達に全部話せるわけじゃないですよ。
そんな時は結構独り言を言ったりしてます。ぶつぶつ、声に出して。
猫とか木に向けて。クレイジーだと思われてるかも。
「あなた、葉っぱちょっと枯れちゃってるね。ちょっと大変だね」なんて話しかけてます (笑)

── へえ、面白いですね。試してみたくなりました。

ぜひ試してみてください。
大切なのは、自分なりのリラックス方法を見つけることです。人それぞれ違いますからね。

── なるほど。でも、どうしてもダメな場合はどうすればいいですか?

そうですね。
ホルモン補充療法を検討するのも一つの方法です。
先ほど言ったようにホルモンバランスが崩れることによって眠りに影響があるので、そのバランスを調整してあげることで、眠りにつきやすくなる人はいます。

── なるほど、ホルモンの量を調整してあげるのですね。

はい。皆さん、一人で悩まないでくださいね。
更年期の時期は、睡眠の問題は本当によくある症状です。
たかが睡眠と思わず、専門家や信頼できる人に相談してみてください。そして、自分を大切にすることを忘れないでくださいね。完璧を求めすぎず、ゆったりと過ごす時間を作ることが大切です。