更年期には、女性ホルモンの分泌が変化することで、さまざまな不調が出てきます。頭痛や頭が重いといった症状も、そのうちの一つと言えます。

ここでは、更年期に見られる頭痛の種類や特徴について解説し、対処法を紹介します。

更年期の頭痛の特徴

更年期の頭痛は、閉経に向かう過程で女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)のバランスが乱れることにより引き起こされます。

特に、もともと頭痛を持っている方は、症状が強く現れることがあります。

片頭痛

片頭痛は、頭の片側がズキズキと脈打つような痛みのある頭痛として知られています。
他にも、以下のような症状や特徴が現れる場合があります。

  • 光や音、においに敏感になり、吐き気を伴う
  • 歩行や階段の上り下りなど、身体を動かすと症状が悪化する
  • 予兆として、視覚症状(きらきらした光や点、線が見えたり視野が一部欠ける)や、感覚症状(チクチク感や感覚鈍麻)が現れる
  • ストレスや疲労、空腹、光・音などの感覚刺激が引き金になる
  • 月経周期と連動する
  • 閉経後に片頭痛が起こる頻度が減る

また、片頭痛の4割の方は頭の両側が痛むとも言われており、両側が痛む片頭痛が起こることがあります。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられるような鈍い痛みの頭痛です。
以下のような症状や特徴が現れる場合があります。

  • 脈を打つような痛みではない
  • 日常の動作で悪化することはほとんどない
  • 頭痛が起きている時に吐き気や嘔吐はあまりみられない
  • 首や肩こり、目の疲れ、ストレスや睡眠不足等が引き金となる
  • 長時間、同じ姿勢や不自然な姿勢をとる人に多くみられる
    (デスクワーク、高さの合わない枕の使用、パソコン、スマートフォン等)
  • お風呂や温湿布等で温めると楽になる場合は、緊張型頭痛の可能性が高い
  • 更年期には、肩こりやストレスを原因とする緊張型頭痛が悪化しやすい
  • 片頭痛と合併することもある

混合型頭痛

混合型頭痛は、片頭痛と緊張型頭痛の両方が現れる頭痛です。

片頭痛と緊張型頭痛で原因が異なるため、対処法を間違えると症状が悪化する可能性があります。
そのため、その時に起きている頭痛は何かを見極めて、適切に対処することが重要です。

薬物乱用頭痛

片頭痛や緊張型頭痛をもつ人が、鎮痛薬を過剰に使用することで起こるものです。

これまで効いていた頭痛薬が効きづらくなったり、薬を服用しても頭痛が悪化する、という場合には、薬物乱用頭痛の可能性も考えられます。

天気痛(気象病)

天候の変化に伴い、低気圧や台風の接近、梅雨の時期などに頭痛が悪化することを「天気痛」と呼びます。

頭痛以外にも、全身のだるさや意欲の低下が見られることもあります。

脳疾患の可能性も忘れないで

頭痛は、更年期特有の症状ではありません。そのため、他の脳疾患ではないかの確認が重要です。

急な強い頭痛や吐き気、しびれ、手足の動かしにくさなどが現れた場合は、くも膜下出血の可能性もあります。

また、脳腫瘍は全ての年齢に発症するがんです。起床時の頭痛や月日が経つごとにだんだん強くなる頭痛、麻痺やふらつきを伴うなどの症状が特徴です。
そのような場合は、頭痛専門外来や脳神経内科、脳神経外科の受診をおすすめします。

更年期と頭痛の関係

それでは、更年期と頭痛には、どのような関係があるのでしょうか。

頭痛をはじめとして、更年期のさまざまな症状は、女性ホルモンの「ゆらぎ」による血管運動が関係しています。

また、体調や精神的な変化がストレスとなり、心身が休まらないことで緊張型頭痛として現れることもあります。

更年期と片頭痛

女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の減少は、結果的に脳の血管の拡張につながります。さらに、脳の血管の拡張によって痛みを引き起こす物質が発生し、片頭痛が起こりやすくなります。

閉経後しばらくしてエストロゲン(卵胞ホルモン)の変化が少なくなると、片頭痛の症状が軽減することがあります。

更年期と緊張型頭痛

緊張型頭痛は、ストレスや睡眠不足、長時間同じ姿勢でいることによる血流の悪化が原因となる頭痛です。

更年期には女性ホルモンの減少による体調の変化で、心身のストレスを感じやすいため、緊張型頭痛が悪化しやすくなると考えられます。

対処法と予防法

いつもの頭痛だからと市販薬でやり過ごすことが多いかもしれませんが、痛みを抱えながら生活することはQOL(生活の質)を大きく低下させます。

頭痛が起きてしまったときの対処法と、日々の予防法を知って、適切なケアを行なっていきましょう。

片頭痛

対処法

片頭痛がある場合は、頭痛専門外来を受診し、適切な薬を処方してもらうことが大切です。

その他に、片頭痛が起こった際に気をつけたいポイントを紹介します。

  • 痛みが軽い場合、痛みを我慢せずに鎮痛剤を使用する
  • アルコールやカフェインの摂取を控える
  • 暗く静かな場所で安静にし、痛みを感じる部分を冷やす
  • エッセンシャルオイルの匂いが不快でなければ、アロマセラピーを取り入れる
    (ペパーミントやラベンダー、ユーカリなどの痛みを和らげるオイルを使用した冷湿布など)

予防

  • どのような時に片頭痛が起こるかをメモしておき、頭痛のパターンや誘因を把握する
  • 片頭痛の誘因を避ける行動をとる
    (ストレス、睡眠不足、強い光や騒音、寒暖差、空腹、長時間のPC作業、スマートフォンの使用など)
  • 片頭痛を起こしやすい食べ物を避ける
    (ワイン、チーズ、チョコレート、ピーナッツ、人工甘味料、ハムなどの加工品など)
  • 血行が良くなる行動を避ける(入浴、飲酒など)
  • 寝不足や寝すぎに注意した適度な睡眠と十分な休息、バランスの良い食事

緊張型頭痛

対処法

緊張型頭痛は、血流を改善することがポイントです。

緊張型頭痛が起こった際に気をつけたいポイントを紹介します。

  • 頭痛を我慢し過ぎず、痛みが強くなる前のタイミングで鎮痛剤を使う
  • 片頭痛と違い、冷やすのではなく温めて血行をよくする
  • 凝りのある部位のツボ押しやマッサージで血行をよくする
  • エッセンシャルオイルの匂いが不快でなければ、アロマセラピーを取り入れる
    (ペパーミントやラベンダー、ローズマリーなどの血行をよくするオイルを使用した温湿布など)

予防法

  • 適度な運動習慣と心身のリラックス・リフレッシュを心がける
  • 長時間同じ姿勢を取らないようにする
  • こまめにストレッチや全身運動をして、血流を促す(ラジオ体操もおすすめ)
  • 姿勢の改善、運動により全身の血流を良くする
  • パソコンやスマートフォンの使用時間に注意し、こまめに休憩をとる
  • 入浴はシャワーだけでなくバスタブにつかり、血流を改善する
  • メガネを使用していたり、老眼を自覚している方は、眼科を受診しメガネの度数が適正であるか、目の状態の確認する

混合型頭痛の対処法

片頭痛と緊張型頭痛が混合している場合は、痛みの強さや症状に応じて対処法を変えることが重要です。

片頭痛や緊張型頭痛のどちらが強く現れているか、そのとき気持ちが良い、快適だと感じる方法で対処しましょう。

頭痛と食事

バランスの良い食事を取ることはもちろんですが、それぞれの頭痛のタイプに効果のある食物を選んだり、避けることも大切です。

自分自身の食事内容と、頭痛との関連にも、日頃から注意を向けていきましょう。

頭痛が起きたり、症状が悪化する食べ物がある場合は避け、頭痛に影響がないと感じる食物、おいしいと感じる食物をとりましょう。

片頭痛

片頭痛の人の30%はマグネシウム不足と言われています。マグネシウムの低下は血管れん縮を起こし、片頭痛につながります。
マグネシウムを含む代表的な食べ物には、海藻、ホタテ、カキ、黒豆、大豆、大豆製品、玄米などがあります。

緊張型頭痛

緊張型頭痛には、血行促進が重要です。
血流促進の効果が期待できる代表的な食べ物には、かぼちゃ、玉ねぎ、ショウガ、小豆、しそ、シナモンやナツメグ等のスパイスやフェンネル、八角などがあります。

更年期の頭痛

更年期に起こる頭痛には、ハーブティーも効果が期待できます。
自分の心地よい温度(冷たくしたり、温かくしたり)で試してみると良いでしょう。

代表的なハーブティーを紹介します。

  • カモミールティー緊張をほぐして身体を温め、香りでリラックスさせる効果が期待できます
  • ペパーミントティー頭痛などの痛みを和らげ、清涼感ある香りで心を安定させる効果があります

また、コーヒーを日常的に飲む方も少なくないでしょう。

適度なカフェインは頭痛を緩和する効果があると言われる一方で、カフェインの摂りすぎは頭痛の引き金になる可能性があるとも言われています。

コーヒーは飲み過ぎない程度に、適度に楽しむことがポイントです。

まとめ

鎮痛剤は、頭痛を一時的に抑える対症療法の薬です。

手に取りやすい市販薬で対処してしまいがちですが、症状がでたら鎮痛剤を飲むということを繰り返していると、薬による副作用を招いたり、適切な治療の機会を失ってしまいます。

頭痛の頻度が多い場合や市販薬が効きにくい場合には、医療機関に相談することをおすすめします。

更年期治療と頭痛

片頭痛や緊張型頭痛に効果が期待できる漢方薬もあります。
漢方薬は頭痛だけでなく、その他の更年期症状に有効なものもあるので、専門の医師に相談してみるのもいいでしょう。

また、片頭痛を持っている方は、ホルモン補充療法で症状が強くなる方がいるので、こちらも専門の医師に相談するのがいいでしょう。

無理をしないことが大切

更年期の女性は、家事や仕事、子育てに追われることが多いです。
そのため、頑張り過ぎず、自分を優先することが重要です。
ストレスをためない生活を心がけ、適度な休息を取り入れましょう。

また、更年期の症状は、放っておくと日常生活に支障を及ぼす更年期障害に発展する可能性が高まります。そのため、適切な対処法やケアをすることで症状を緩和することが重要です。

自己判断で市販薬を使い続けたり、我慢するのではなく、専門医に相談することが大切です。

片頭痛や緊張型頭痛を含め全体的に言えることですが、症状を緩和してより良い生活を送るために、まずは今の自分の状態を知り、自分に合った対策を取り入れましょう。