ホットフラッシュ(のぼせやほてり、発汗などの血管運動症状)は、更年期障害の代表的な症状の一つです。突然起こるため、日常生活に支障をきたすこともあります。

一般的には、薬による治療がホットフラッシュの治療法として知られていますが、食べ物や飲み物でも症状の改善が期待できると言われています。しかし、本当にそのような食品は存在するのでしょうか。

この記事では、ホットフラッシュに効くとされる食べ物や飲み物、摂取する際の注意点、そしてそのほかの対処法について詳しく解説します。

ホットフラッシュとは

ホットフラッシュは更年期に多く見られる症状で、突然顔や体が熱くなったり、汗がひどく止まらなくなったりします。

落ち着いたと思えば出現し、1日に何度も繰り返されるのが特徴です。更年期の女性の約3分の2が経験するとされ、特に多く見られます。

症状は昼間だけでなく睡眠時にも現れることがあり、夜中に何度も目覚めることで、睡眠障害を引き起こすこともあります。

ホットフラッシュは、平均的に約4分続くと言われていますが、短ければ数秒、長ければ約10分続く場合もあります。

食べ物や飲み物、暖かい環境、ストレスなどによって出現することがあり、特に運動習慣のない人や喫煙者に多く見られる傾向がある症状です。

ホットフラッシュが起こる原因

ホットフラッシュと呼ばれるほてりは、体温調整を行う視床下部の中枢神経系が原因で起こります。

通常、女性ホルモンであるエストロゲンが体温を安定させていますが、加齢によってエストロゲンが減少すると体温調整の働きが乱れ、わずかな体温上昇や外的刺激でホットフラッシュが起こりやすくなるのです。

また、日本人女性の研究では、BMIが増加するほど、ほてりや発汗などの血管運動症状が重くなることが示されています。

注意すべき点は、ホットフラッシュと自己判断しないことです。もしかすると、血圧や甲状腺の異常といった、ほかの疾患が原因の可能性もあります。

エストロゲンの減少によって血圧が高くなりやすくなり、ホットフラッシュに加えて頭痛や動機、息切れ、手足のしびれなどの症状が現れることがあるのです。
このようなホットフラッシュ以外の症状が現れた場合は、医療機関で検査を受けることをおすすめします。

また、甲状腺の異常が原因であれば、ホットフラッシュに加えてイライラや体重の減少、脈が速くなるといった症状が見られることがあります。

甲状腺機能の低下は、更年期世代の女性に多く見られ、その症状はホットフラッシュを含む典型的な更年期症状と非常によく似ています。そのため、年に一度の健康診断で甲状腺機能を確認し、ホットフラッシュを感じた際は専門医に相談することが大切です。

実は注意が必要?効果があると思われがちな食べ物

更年期のホットフラッシュに効果があるとよく言われる食べ物に「大豆」があります。大豆に含まれる大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た作用を持つ天然の食品成分で、ホットフラッシュの緩和が期待されています。

1日の摂取目安量は食品からであれば70〜75mgとされており、少し多めに摂取してもすぐに健康に影響が出るわけではありません。ただし、サプリメントなどの特定保健用食品からの摂取上限は30mgとされており、過剰摂取のリスクもあるため注意が必要です。

大豆食品は、良質なタンパク質やカルシウムを豊富に含む優れた栄養源ですが、油分も多く含まれるため食べすぎには注意しましょう。大豆だけではなく、栄養バランスのとれた食事を摂ることが大切で、ホットフラッシュの症状を和らげるためにも効果的です。

ホットフラッシュの緩和につながる食品

果物や野菜をしっかり摂取することは、誰にとっても必要不可欠です。特に更年期の女性にとっては、野菜を食べることが体重管理や減量に役立ち、結果としてホットフラッシュの症状緩和につながります。

緑の野菜に加えて、良質な「油」を摂取することも大切です。
ある研究では、オメガ3脂肪酸を含む食品が、ホットフラッシュや寝汗の緩和に効果があることが示されています。たとえば、普段とっている肉類をオメガ3脂肪酸が豊富に含まれる魚に置き換えたり、バターをオリーブオイルに置き換えると良いかもしれません。

また、たんぱく質は女性ホルモンや、メンタルに関する神経伝達物質ホルモンの材料となり、不足すると更年期の不調が強まる可能性があります。そのため、たんぱく質も意識して摂取することが大切です。

ホットフラッシュを悪化させる食品

ホットフラッシュを抑えるには、自分の身体に耳を傾け、どの食品が症状を引き起こしやすいかを知ることが重要です。

以下の食品が、症状を悪化させる可能性があると言われています。

  • カフェイン
    カフェインの影響は人によって異なりますが、カフェインが一部の女性でホットフラッシュを悪化させる原因として、血管への影響が指摘されています。ホットフラッシュが強い場合は、コーヒーの摂取量を減らしたり、デカフェを試したりするのも良いでしょう。
  • アルコール
    アルコールは血管を拡張し体温を上昇させるため、顔のほてりや発汗を引き起こしやすくなります。特に寝る前に摂取すると発汗して睡眠を妨げる可能性があるため、摂取量を見直すことが推奨されます。
  • 唐辛子
    唐辛子に含まれるカプサイシンは、ホットフラッシュを直接引き起こすわけではありませんが、注意が必要な食品です。更年期のホットフラッシュ(ほてり)はホルモン変動によって体温センサーが刺激され、脳が「体が熱くなりすぎている」と錯覚することで起こります。この体温上昇のメカニズムは、カプサイシンが引き起こす反応と似ているため、辛い食べ物を食べたときにホットフラッシュに似た感覚を覚えることがあります。
  • 加工食品
    加工食品は血圧を上げやすく、ホットフラッシュの症状を悪化させる可能性があります。特に超加工食品の摂取は控えるように心がけましょう。

これらの食品が原因で症状が悪化すると、睡眠中に発汗し、睡眠障害を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。

薬を使った対処法

薬を使わない対処法で効果が見られない場合、薬物療法を検討することが有効です。
主な治療法には、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬があります。特にホルモン補充療法(HRT)は、ホットフラッシュの症状を50〜100%軽減する効果があるとされています。

各治療法の目的は次のとおりです。

  • ホルモン補充療法(HRT)
    更年期に減少するエストロゲンを補うことで、ホットフラッシュの改善が期待されます。
  • 漢方薬
    更年期の症状に用いられる三大漢方薬に「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」「加味逍遙散」があります。特に加味逍遙散は、発汗やホットフラッシュなどの血管運動神経症状に効果があるとされています。また、桂枝茯苓丸は、血行不良(瘀血)によるのぼせや、赤ら顔の症状がある方に適した漢方です。
  • 向精神薬
    体温調節に関わるセロトニンを調整する作用があり、ホットフラッシュの頻度や強さを緩和する効果が期待されます。

対処法を試しても改善が見られない場合は

ホットフラッシュの対処法にはさまざまな選択肢がありますが、長期的な解決策としては、食生活の改善や生活習慣の見直し、適度な有酸素運動を取り入れるのが効果的です。

いくつかの対処法を試しても症状の改善が見られない場合は、更年期専門家への相談をおすすめします。

更年期障害の治療は、対症療法で簡単に治るものではありません。だからこそ、自分に合った治療方法を見つけ、一緒に並走してくれる医療機関を見つけることが重要です。

ビバエルは、更年期専門のオンライン診療サービスです。更年期の専門知識をもつ医療従事者がさまざまな悩みに寄り添い、理解をもってしっかりとサポートします。

時間をかけたカウンセリングと診察を自宅で受けられるだけでなく、必要に応じた薬の処方を行うので、リラックスして利用できる点も特徴です。

忙しい女性でホットフラッシュの症状にお悩みの方は、まずはビバエルの看護カウンセリングで相談してみてはいかがでしょうか。