女性の皆さん、ご自身のデリケートゾーンを観察していますか?
今回は、更年期の女性のデリケートゾーンの悩みとそのケアについてのお話です。

この記事で「デリケートゾーン」は、膣や小陰唇・大陰唇を含む外陰部の女性器周辺のことを指します。
普段人には見せない身体の部分ではありますが、女性にとって切っても切り離せない大切な部分です。

最近では、デリケートゾーンを「フェムゾーン」と呼んだり、「フェムケア」や「フェムテック」という言葉も一般的になり、デリケートゾーンをケアして大切にすることへの関心が高まっています。

女性ホルモンの変化とデリケートゾーン

40歳を過ぎるころから、女性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が少なくなっていきます。

その影響で、次のような症状が現れます。

  • ホットフラッシュ
  • 不正出血、月経周期の変化
  • 乾燥、かゆみ、皮膚がひりひりする感覚、皮膚が薄くなる
  • 関節の痛み、こわばり
  • めまい、不安感、イライラ、記憶力低下、気分の落ち込み
  • 体重増加
  • 膣の乾燥、萎縮、性交痛    など

これらの症状や程度には個人差がありますが、こうした症状の中でも、デリケートゾーンに変化が起こる割合は、比較的高い症状となっています。

デリケートゾーンの変化とは

デリーケートゾーンの変化とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

まず、エストロゲン(卵胞ホルモン)が減少すると膣の変化が始まります。
放っておくと膣の乾燥や萎縮は進み、いずれ小陰唇が乾燥して縮み、指が一本も入らない状態になってしまいます。

さらに、膣内環境が乱れて感染をくりかえすようになったり、ピリピリ・チリチリ張り付くような不快感やかゆみ、尿漏れが起こったり、夜が眠れなくなることもあります。

膣の変化は、人によっては日常生活にも影響を及ぼす大きな問題なのです。
また、こうしたデリケートゾーンのさまざまな症状をGSM(閉経関連尿路性器症候群)と呼びます。

デリケートで特別な場所

では、どのように対策したらいいのでしょうか?

まずは、自分のデリケートゾーンを観察して、関心を持つことからスタートです。

女性の皆さん、ご自身のデリケートゾーンを観察していますか?

複数回の出産経験がある方でも、自分のデリケートゾーンを見たことがないと答える方が結構いらっしゃいます。

放っておいて後々後悔しないために、適切なケアを今から取り入れていきましょう。

デリケートゾーンのケア方法

洗浄剤は何を選べばいいの?

デリケートゾーンのpH値(※)は3.8〜4.5なのに対して、それ以外の皮膚のpH値は4.5〜6.5です。

膣内に存在する乳酸菌の一種であるデーデルライン桿菌(かんきん)が乳酸菌を作り出し、膣内をより酸性にして感染から守ってくれています。

※pH値(ペーハー)とは、酸性かアルカリ性かを表す尺度で、1〜14までの数値で表されます。7が「中性」、pHが7より小さいと「酸性」、7より大きいと「アルカリ性」となります。

一方で、通常のボディーソープは、デリケートゾーン以外の皮膚に合わせて作られているため、デリケートゾーンへの使用が好ましくないことがあります。
デリケートゾーンに合わせて作られた、弱酸性の専用ソープの使用をおすすめします。

様々なデリケートゾーン専用ソープがありますが、実際に使ってみたものの中からいくつかご紹介します。

  • アールアノンDソープ
    医師監修のケアプロダクトで、医療機関でも取扱われています。
    詳細はこちら
  • ジョホリズム オーガニックフェミニンソープ
    ハーブやアロマテラピーで知られる「生活の木」のケアプロダクト。
    詳細はこちら
  • アロメディカ フェミノール
    アロマテラピー製品を研究・開発しているチェコのスキンケアブランド「アロメディカ」のケアプロダクト。
    詳細はこちら

化学物質の入ったものを使う事で、アレルギーの原因になったり、思わぬ体調不良を引き起こす可能性があります。たとえば、「マイルド」と表示されているものでも、香料入りのものもあるので、ソープなどを選ぶ際も注意して選びたいですね。

デリケートゾーンの洗浄方法

まずは必要以上に洗いすぎないことが大切です。
ゴシゴシこすり過ぎてしまうと、トラブルになる場合があります。

デリケートゾーンにはひだがあり、垢がたまりやすい形状なので、ひだの間も優しくそっと洗いましょう。

そして、膣の中は粘膜なので洗わないことも忘れずに。

洗い方は「前から後ろ」が基本で、肛門が最後です。

洗浄剤は上記でも紹介しましたが、ふつうのボディソープはアルカリ性のものがほとんどなので、フェムゾーン用の専用ソープを使うことをお勧めします。

洗浄するときに気をつけたいこと

まず、デリケートゾーンの皮膚は唇やまぶたよりも薄いため、顔にしないことはデリケートゾーンにもしないことが大切です。

美容に気を使う方であれば、顔の皮膚をゴシゴシこすったり、熱いお湯で顔を洗ったりしないですよね。

デリケートゾーンには顔のお手入れ以上に気を使う必要があるということです。

かぶれやすく、かゆみが起こりやすい部分のため、かゆいからと言ってナイロンたわしなどでゴシゴシと洗うと、皮膚トラブルを起こしてしまう場合があります。

顔に保湿やマッサージをするのと同じように優しく丁寧なお手入れを心がけたいですね。

デリケートゾーンの保湿

たくさんのフェムケア用品が溢れていますが、値段もさまざまで、中には膣内に使えないものがほとんどなので、選ぶときには注意が必要です。
食品として使用できる無添加の良質なオイルは、膣内への使用が可能です。

また、ビバエルではエストロゲン製剤入りのオイルを処方しているので、乾燥や違和感といった症状への効果も期待できます。必要に応じて膣錠の処方を行うこともあります。

オイルの使用方法や膣内のマッサージについて気になる方は、ビバエルの看護カウンセリングでも指導しているので、お気軽にご質問してください。

デリケートゾーンケアで気をつけたいこと

洗浄や保湿と合わせて、以下のような点も参考にしてみてください。

  • 洗濯時に柔軟剤を使用しない
  • 綿素材の下着を着用する
  • 締め付けのある服を避ける
  • 夜寝るときに下着をつけない
  • 香りつきのナプキンやタンポンを使用しない
  • 軟膏は、パラベンフリーで無香料のものを使用する

デリケートゾーンも顔と同じで血流と保湿が大切です。

人に見せない部分を自分が大切に扱うことは、自分自身を大切に扱うことに他なりません。

乾燥や萎縮が進んでしまう前に、丁寧なケアをしていきましょう。