「最近、疲れやすくなった」「気分の浮き沈みが激しい」「眠れない日が続く」—— そんな変化を感じていませんか？
40代を過ぎるころから、体や心の不調を感じる女性は少なくありません。これらは“更年期のサイン”であり、女性ホルモンの変化によって起こる自然な現象です。

しかし、「そのうち落ち着くはず」と放置してしまうと、生活の質の低下や、将来的な病気のリスクにつながることもあります。

この記事では、更年期の基礎知識から、放置するリスク、今日から始められるセルフケアや医療的サポートまでをわかりやすく解説します。
不調を我慢するのではなく、自分らしく前向きに過ごすための第一歩を、一緒に見つけていきましょう。

更年期とは？いつから始まるのか

更年期は、女性ホルモンの分泌が急激に減少する40代後半から50代前半にかけて多くの人に訪れる時期です。

更年期に現れる代表的な症状

更年期の症状は多種多様で、個人差が大きいものの、ほてりや発汗、不眠や寝つきの悪さ、イライラや気分の落ち込み、動悸やめまい、さらに関節痛や肩こりなどがよく見られます。こうした症状は「自分だけがつらい」と感じがちですが、実際には誰にでも起こる自然な変化です。

更年期対策をしなかったらどうなる？

「自然なことだから放っておけばいい」と考える人もいますが、実際には対策をしないことで生活の質や健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。

日常生活への悪影響

慢性的な睡眠不足や集中力の低下が続けば、日常生活全般に支障をきたし、仕事や家事のパフォーマンスを落としてしまいます。

健康リスクの増加

骨粗しょう症や動脈硬化、心疾患といった生活習慣病のリスクが高まるほか、更年期うつに発展するケースも少なくありません。

家庭や仕事への影響

家庭や職場での人間関係が悪化し、キャリアにまで影響することもあります。つまり、更年期は放置してしまうと「つらさの悪循環」に陥る可能性があるのです。

今日からできる更年期対策【セルフケア編】

更年期の不調を和らげるためには、日常生活に小さな工夫を取り入れることが効果的です。

食事やサプリメントでできること

大豆イソフラボンを多く含む豆腐や納豆、豆乳などは、女性ホルモンの働きを補う効果が期待でき、ホルモンバランスの乱れからくる不調をやわらげる助けになります。さらに、カルシウムやビタミンDを含む食品を組み合わせることで骨の健康を守ることができます。

加えて、筋肉量の低下を防ぎ、基礎代謝を維持するためには十分なタンパク質の摂取も大切です。肉や魚、卵、大豆製品などを毎食意識して取り入れると良いでしょう。また、月経のある女性や疲労感が強い場合には鉄分不足にも注意が必要です。赤身の肉やレバー、ひじき、ほうれん草などを積極的に食事に加えることで、貧血予防や体調の安定につながります。

 運動による改善

有酸素運動、筋力トレーニング、バランス運動など、継続的な運動習慣によって、代謝の向上、骨や筋肉の強化、自律神経の調整など、体と心の両面に良い影響をもたらします。さらに、気分の落ち込みや不安、イライラといった症状に対しても、定期的な運動習慣が改善に寄与することが複数の論文で示されており、体だけでなく心の健康を守るうえでも運動は欠かせない対策といえます。

睡眠の質を高める工夫

更年期に多い不眠や中途覚醒の改善には、まず生活習慣を見直すことが基本となります。毎日同じ時間に就寝・起床する、適度な運動を取り入れる、寝室の温度や明るさを整える、就寝前にスマホを避け、リラックスする時間を持つといった習慣が質の高い睡眠をサポートします。また、睡眠障害には精神的な要因が関わっていることも多く、ストレス対策が有効になることもあります。

ストレス対策

更年期はホルモンの減少がきっかけで始まりますが、その症状の種類や程度はストレスの有無によって大きく変わるといわれています。仕事や家庭で強いストレスを抱えている人ほど、症状が重く出たり長引いたりしやすい傾向があります。そのため、ストレスケアは更年期対策の中でも特に重要です。深呼吸や瞑想、アロマを取り入れる、趣味の時間を大切にする、友人と会話を楽しむなど、自分に合った方法で心を落ち着ける工夫を持つことが、心身のバランスを保つ助けになります。

更年期対策【医療編】

セルフケアで不十分なときは、医療の力を借りるのも有効です。

漢方薬による体質改善

更年期の不調には、漢方薬が有効な選択肢のひとつです。代表的な処方には、冷えやむくみに用いられる「当帰芍薬散」や、イライラや不安感を和らげる「加味逍遙散」があります。そのほかにも体質や症状の違いに合わせて多くの種類があり、自分に合ったものを見つけることが大切です。

漢方は効果が出るまでに時間がかかる場合があり、数週間から数か月かけて体質の改善を目指します。もし数か月試しても効果を感じられない場合には、別の種類に切り替える柔軟さも必要です。焦らずに、自分の体質や症状に合った処方を探していく姿勢が大切だといえるでしょう。

ホルモン補充療法（HRT）

不足している女性ホルモンを補う治療で、更年期に起こる不快な症状を緩和し、更年期以降の健康リスクを予防する方法です。HRTが有効な主な症状には、のぼせやほてり、気分の落ち込み、脂質異常症、関節痛、骨粗鬆症、皮膚の潤いの低下があります。

ホルモンと聞くと悪いイメージを持つ人も多く、以前より「HRTによって乳がんが発生しやすくなるのではないか」と心配され、数多くの研究が重ねられてきました。しかし、最近の研究によってHRTによる乳がん発症リスクは案外低いことがわかってきました。HRTの実施期間が５年未満であればHRTを実施しない場合と比較して明らかな差は認められず、５年以上HRTを実施した場合でも、すでに知られているアルコール摂取・喫煙・肥満などの生活習慣に関連するリスク因子と同等かそれ以下であると報告されています。

HRTの実施とは関係なく、女性の9人に1人が乳がんを発症しています。HRTを行う場合、又は行わない場合でも、定期的に乳がん検診を受けましょう。

カウンセリングの活用

更年期の不調はホルモンの減少が大きなきっかけになりますが、その症状の感じ方やつらさの程度には心理的な要因も深く関わっています。閉経を迎えることで「これからの自分のあり方」や「女性としての役割の変化」に悩む人も多く、身体だけでなく心にも大きな影響を与えることがあります。こうしたときに有効なのがカウンセリングです。

専門家によるカウンセリングを受けることで、自分の気持ちを整理し、ストレスや不安に対処する方法を学ぶことができます。特に更年期世代の女性の身体と心の両面を理解しているカウンセラーであれば、生活改善や医療との併用にもつなげやすくなります。セルフケアや薬だけでは解消できない身体と心の不調に対して、カウンセリングを取り入れることは大切な対策のひとつです。

医師に相談すべきタイミング

更年期の症状は、我慢すればなんとかなると思って放置されがちです。しかし、気分の落ち込みが長引いている場合や、生活に支障が出るほどの不眠や動悸がある場合には、早めに医師へ相談することが大切です。さらに、不眠や動悸に限らず、日常生活の中で不快な症状を繰り返し感じるようであれば、それも受診のサインと考えましょう。

また、心理的なイライラや不安感といった心の症状についても、専門医であれば更年期の背景を踏まえた対処法を提示してくれます。身体のケアと心のケアを切り離さず、早めに専門家へ相談することで、症状の悪化を防ぎ、より安心して更年期を乗り越えることができます。

よくある質問（Q&A）

Q1: 更年期はいつまで続きますか？
A: 症状が特につらく出やすいのは、閉経をはさんだ数年間であることが多いです。ただし、症状の程度や持続期間には大きな個人差があり、短期間で収まる人もいれば、長く不調が続く人もいます。

Q2: サプリと薬はどう違う？
A: サプリメントは、あくまで食事の代替や補助として位置づけられる栄養補助食品です。副作用のリスクは低いものの、効果は比較的穏やかです。一方で、漢方薬やホルモン補充療法といった薬は、医師の診察のもとで使用される治療です。効果がはっきりと現れる反面、副作用や適応の有無も考慮する必要があり、専門的な判断が欠かせません。

Q3: 漢方はどのくらいで効く？
A: 体質に合えば数週間〜数か月で変化を感じることがあります。

Q4: HRTは誰でも受けられる？
A: 持病やリスクによって受けられない場合があるため、必ず医師に相談しましょう。

まとめ｜更年期は「対策するかどうか」が分かれ道

「更年期は人生の質を見直すチャンス」と捉え、前向きに対策に取り組むことで、健康で快適な日々を送ることができるはずです。もし一人で悩んでいるなら、更年期医療に詳しい専門医とつながれる場を活用してみてください。

更年期専門のオンライン診療「ビバエル」とは

更年期専門の医療者とオンラインで相談、治療ができる Vivalle（ビバエル） です。自宅からスマートフォンやPCを使って受診でき、処方薬は自宅で受け取れるため、忙しくて病院に行く時間が取れない方でも安心して相談できます。

専門の医師による診察はもちろん、症状に応じた治療やカウンセリングの提案も受けられるので、「一人で抱え込まずに専門家と一緒に向き合える」環境が整っています。