更年期にはさまざまな症状が現れますが、その中でも不眠に悩む人は少なくありません。
「この症状はいつまで続くのか」「更年期はいつ終わるのか」といった、不安を抱える女性は多いでしょう。
結論を言うと、更年期には必ず終わりがあります。しかし「いつ」といった具体的な時期を断言することはできません。
ここでは、更年期と向き合いながら、不眠を改善する方法についてご紹介します。
更年期の不眠の主な原因
厚生労働省の調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の女性は40代で44.6%、50代で48%と4割を超えており、30代の38.7%から約1割も増加しています。
また、2022年のデータでは「睡眠で休養が十分にとれていない」と感じる女性の割合は30代で27.5%、40代で28.4%、50代で29.4%と年齢とともに増加しているのです。
これらの結果から、40代から50代の女性は、不眠に悩む人が多いことがうかがえます。不眠を改善するために、まずは、更年期の不眠の主な原因を理解することが大切です。
女性ホルモンが減少するため
女性は加齢に伴い卵巣機能が低下することで、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が大きく減少し、体にさまざまな影響を及ぼします。
これにより、身体的、精神的症状が現れ、日常生活に支障がでる更年期障害が引き起こされます。不眠もその症状の一つです。
エストロゲンは、女性らしいからだを作り、生殖器官の発育や維持に働くホルモンです。40代を過ぎると急激に減少し、更年期特有のさまざまな症状が現れます。
一方、プロゲステロンは妊娠を維持する働きがあるほか、安らかでリラックスできる睡眠や、活力を回復させる睡眠を可能にする特徴があるホルモンです。しかし、更年期になるとプロゲステロンが減少するため、不眠症状が現れやすくなります。
自律神経が乱れるため
自律神経は、体を活動的にするための交感神経と、リラックスさせる副交感神経の2つに分かれています。
自律神経が乱れ、交感神経が優位になりつづけ、副交感神経がうまく働かないと、リラックスできず、寝つきにくくなります。これが、更年期の不眠となる原因の一つです。
更年期に自律神経が乱れるのは、脳の視床下部と脳下垂体が関係しています。視床下部は、女性ホルモンを分泌させる指令を出すと同時に、自律神経の調整をする働きもあります。
そのため、更年期によって女性ホルモンが減少すると自律神経にも影響を与え、乱れを引き起こす原因となるのです。
詳しい仕組みは「更年期とは」をご覧ください。
更年期の不眠のタイプ
更年期の不眠といっても症状は人それぞれに異なり、以下の6つのタイプに分かれます。
- 入眠障害
寝つきが悪く、なかなか眠れない。 - 中途覚醒
眠りが浅く、途中で何度も目が覚める。 - 早期覚醒
朝早く目が覚めてしまい、その後眠れない。 - 熟眠障害
睡眠時間が十分でも眠りが浅く、熟睡した感じがない。 - むずむず脚症候群
夕方から夜間にかけて症状が現れやすく、主に「下肢がむずむずする」「痛みを伴うかゆみが現れる」といった、じっとしていられない状態になるため、眠りにつきにくくなる。 - 睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が止まり、無呼吸状態が繰り返されるほかに「いびきをかく」「熟睡感がない」「日中にだるさや倦怠感を感じる」といった症状も見られる。
不眠症状のタイプは、原因を探ったり、睡眠薬を選択したりする際に参考になるため、覚えておくと良いでしょう。
女性はライフステージによってホルモンが大きく変化し、それに伴い睡眠に不調がでやすく、特に更年期は不眠になりやすいとされています。
のぼせや発汗、動機などが原因で深く眠れなかったり、家庭や仕事のストレスを抱えたりして、睡眠が浅く短くなりやすいのが特徴です。
さらに、不眠の慢性化につながるリスクも高まるため、その際は医療機関を受診し、正しい診断を受けることが大切です。
更年期の不眠を改善する方法
更年期による不眠症対策として、自律神経を整えるために、生活習慣の改善や規則正しい生活、適度な運動を試みるのも有効です。
眠る前にはテレビやスマホは見ないようにするとか、ヨガやストレッチでリラックスして副交感神経を優位にするなどの方法があります。しかし、それでも更年期の不眠がなかなか改善されない場合があります。
その際は、薬物療法を検討するのも一つの方法です。薬の服用に不安がある人もいるかもしれませんが、適切な処方を受ければ安心して利用できます。
ここでは、その治療法についてご紹介します。
ホルモン補充療法(HRT)
更年期障害の主な原因は、女性ホルモンの減少です。そのうちの、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うホルモン補充療法(HRT)があります。
ホルモン補充療法は、のぼせやほてり、ホットフラッシュといった血管運動神経症状による不眠に有効といわれていますが、そのほかの症状にも有効であることがわかっています。
子宮がある人には、黄体ホルモンとの併用治療が行われます。エストロゲン単独の治療では、子宮内膜が過剰に増殖して分厚くなり、不正出血のリスクが高まるためです。一方、子宮を摘出した人には、エストロゲン単独の治療が行われます。
ホルモン剤には、飲み薬や貼り薬、塗り薬などの種類があり、薬によって投与方法はさまざまです。自分に合った治療法を選ぶためにも、医師とよく相談して最適な方法を見つけましょう。
漢方薬
漢方薬は原則として、2種類以上の生薬を組み合わせて作られているため、一つの処方でさまざまな病状に対応できるのが特徴です。
また、漢方薬は病院の検査では異常がないにも関わらず、自覚症状がある場合に適していると考えられています。原因がはっきりしない慢性的な病気や、体質に関連した症状には、漢方薬が向くことが多いとされているのです。
更年期の症状にも漢方薬が用いられ、特に更年期の三大漢方と言われる「当帰芍薬散」「加味逍遥散」「桂枝茯苓丸」がよく使われます。
漢方薬は、個々の体質や症状によって効果が異なるため、医師とよく相談し、自分に合った薬を処方してもらうことが大切です。
向精神薬を服用する
更年期障害の中で、不眠は精神症状の一つとされています。
更年期にはうつ症状を発症することもあり、不眠だけでなく、気分の落ち込みや意欲の低下、イライラなどの症状が現れる場合があります。その際に用いられるのが、向精神薬です。
抗うつ薬の中でも、セロトニンやノルアドレナリンといった、ストレスに関するホルモンの再取り込みを阻害するタイプの薬は副作用が少なく、ほてりやホットフラッシュなどの血管運動神経症状にも効果があるとされています。そのため、この症状による不眠の改善が期待できるのです。
更年期の不眠が続く場合は医療機関の受診を検討しよう
厚生労働省が行った「更年期症状を自覚し始めてから医療機関受診までの期間」に関する調査結果があります。データによると、更年期症状が一つでもある女性2,409人のうち「受診していない」と回答した割合は40代で81.7%、50代で78.9%でした。
参照:厚生労働省|更年期症状・障害に関する意識調査
特に40代から50代の女性は、仕事や子育て、介護などで忙しく、医療機関に行く時間を作るのが難しいかもしれません。また、どの診療科を受診したら良いのかわからず、判断に迷うこともあるでしょう。
ビバエルでは、更年期専門のオンライン診療サービスを行なっています。予約から問診、診察、お薬の処方まですべてオンラインで完結するため、時間のない女性に喜ばれています。
更年期障害の不眠をはじめ、そのほかの更年期症状で悩む方は、ビバエルの看護カウンセリングを利用して相談してみてはいかがでしょうか。
不眠は生活に大きな影響を与えます。生活習慣や運動で改善できるのが理想ですが、症状が改善しない場合は、医療機関の受診を検討しましょう。