更年期の女性は、止まらない体重増加に悩む人が多くみられます。
「生活は変えていないのに、体重が増えていく」「去年の服が入らない」などと悩む女性は、珍しくありません。

更年期において、女性は平均して年間0.5キロ、閉経期全体で2.3キロの体重増加を経験するといわれています。体重が増えると「痩せるために食べる量を減らさなければ」と思いがちですが、更年期後の閉経期を健康的に過ごすには、適切な栄養や運動によるケアが大切です。

ここでは、更年期女性の体重が増える理由や、健康的なダイエット法について紹介します。

【40代女性】更年期に体重増加が止まらず痩せない3つの理由

更年期に体重増加が止まらずに痩せない理由は、以下の3つです。

  • 女性ホルモン減少による身体の変化
  • 加齢による筋肉量や基礎代謝の低下
  • 更年期による自律神経の乱れ

痩せない理由が分かれば、自分の生活に合わせた対策を立てやすくなります。順番にみていきましょう。

更年期については、記事「【更年期の基礎知識】更年期とは?」以下の記事も参考にしてください。

女性ホルモン減少による身体の変化

女性ホルモン「エストロゲン」は、食欲や水分バランスなどを調節しています。

エストロゲンの効果と、更年期のホルモンバランスの変化によって起こる身体の変化をいくつか紹介します。

エストロゲンの効果エストロゲン減少で起こる「身体の変化」
脂肪量が過剰にならないようにコントロールする体脂肪が蓄積しやすくなる
食欲をコントロールする食欲がコントロールできなくなり、食べすぎてしまう
血液中のLDLコレステロールを抑制するコレステロールが増えて「内臓型肥満」になり、お腹周りが太くなる
体内の水分量を調節するむくみによる体重増加が起こる

ホルモンの変化によって増加した体脂肪は、おもに腹部や内臓に蓄積します。体脂肪の増加は心血管疾患や糖尿病などの代謝疾患と関連し、将来の健康に影響を及ぼすリスクもあります。

女性ホルモンは「ほてり」「ホットフラッシュ」などの「更年期障害」だけでなく、身体の脂肪が増える、コレステロールが増えるなどの変化にも関係しているのです。

加齢による筋肉量や基礎代謝の低下

年を重ねるにつれて、筋肉量や基礎代謝が落ちることも体重増加の一因です。たとえば、身体を動かすための筋肉「骨格筋」は、25~30歳ごろから徐々に低下し始めるといわれています。

また、更年期によるホルモン量の変化によって、女性の基礎代謝量(BMR)は1日あたり250~300kcalも減少します。

筋肉量が低下すると基礎代謝が落ちるばかりでなく、運動能力が落ちてさらに筋肉が落ちる負のスパイラルを生じる可能性もあります。

代謝が落ちているのに今までと同じ生活を続けると、体重は徐々に増えていきます。運動週間のない人は、今までよりも少し意識して身体を動かすよう注意するとよいでしょう。

更年期による自律神経の乱れ

更年期は、女性ホルモン低下による自律神経の乱れによって「イライラ感」「不安感」などが現れやすい時期です。

自律神経が乱れると、以下のような理由によって体重が増えやすくなります。

  • 食欲を抑える機能が低下し、食べすぎてしまう
  • ストレス解消のために、甘いものやお酒などを摂りすぎてしまう
  • 睡眠リズムが乱れて疲れが溜まり、食事のバランスが崩れてしまう

自律神経の乱れによるイライラ感は、更年期太りだけでなく生活全体の質を低下させます。「イライラして食欲が止まらない」「不安やイライラ感が毎日続く」などがつらいなら、更年期症状に関するカウンセリングを受けるのもひとつの方法です。

自分が更年期かも?と思う方は、更年期症状の程度を点数形式で簡単にチェックできる以下の記事も参考にしてみてください。

更年期のセルフチェックの記事へのリンク

【ダイエット法】更年期太りはどうやって痩せるのか

更年期太りを実感する人は、まずは自分の肥満度を計算して「適正体重」を目指してみましょう。

BMIの計算

肥満度は、「BMI」という国際基準で簡単に計算できます。
下記の計算フォームに入力して計算してみてください。

cm
kg
BMI --

BMIと肥満度の関係

  • BMIが25以上:肥満
  • BMIが18.5~24.9:標準
  • BMIが18.4以下:痩せている

とくにBMIが25以上の人は、これから紹介する4つの方法を試してみてください。

運動をして身体を動かす

有酸素運動は、更年期太りの解消だけでなく「冷え」「不眠」「肩こり」「疲労」などの更年期症状にも良い影響を与えます。

たとえば、以下のような運動は更年期の女性に人気があります。

  • ウォーキング
  • ピラティス
  • ストレッチ
  • ダンス
  • ヨガ
  • 気功
  • ウエイトなどを使った筋肉トレーニング

自分が好きで続けやすい運動を、ぜひ探してみてください。

また、まとまった運動時間を確保できない人は、以下のように小さなものから始めるのもひとつの方法です。

  • 普段は車で行くコンビニまで歩いてみる
  • 仕事の休憩時間にストレッチをする

週3回、1日30分以上の「その運動をしながら話すことはできるが、歌うことはできない程度の運動」が推奨されていますが、一番重要なのは「毎日運動を続けること」です。

自分のペースに合わせて無理のない範囲から少しずつ身体を動かす習慣を付けてみてください。

更年期におすすめの運動については、「40~50代の更年期女性におすすめの運動」でもご紹介しています。

食事に気を付ける

更年期太りから痩せるには、以下の内容に気を付けてみましょう。

  • 栄養バランスのよい食事を規則正しく摂る
  • 良質なタンパク質を意識して摂る
  • 野菜や青魚を積極的に摂る
  • お酒は適量に留める
  • よく噛んで食べる

まぐろ、鶏ささみ、チーズ、大豆製品などのさまざまな食品からバランスよくタンパク質を摂取するよう意識してみましょう。

また、早食いの人は、短い時間で多くの量を食べるため、食事量の管理が甘くなり、必要量以上の食事を摂りがちです。更年期太りが気になる人は、早食いになっていないかを見直してみるのもおすすめです。

ダイエットにおすすめの食事メニューについては、「更年期ダイエットにおすすめの食事メニューは?避けたいポイントも解説」で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

記事リンク

漢方薬を試す

体質に合った漢方薬によって、体重管理がしやすくなる人もいます。更年期の体重増加によく使われる漢方薬は、以下の通りです。

  • 防風通聖散:お腹周りに脂肪が多く、便秘をともなう肥満症に効果的
  • 防已黄耆湯:むくみがちで疲れやすく、汗をかきやすい人に効果的
  • 大柴胡湯:ストレスが多く便秘気味の人の肥満症に効果的

漢方薬は、体質や東洋医学で重要な3つの要素「気」「血」「水」のどれが崩れているかなどによって合う薬が異なります。
漢方薬を試す場合は、ご自身で判断せずに医師や専門家に相談しましょう。

病院で専門家に相談する

更年期の体重増加が止まらない場合は、病院で専門家に相談するのもひとつの方法です。

とくに更年期症状・更年期障害が強く出ている場合は、女性ホルモンを補充する「ホルモン補充療法(HRT)」で楽になる場合があります。ホルモン補充療法に使われる薬は「飲み薬」「塗り薬」「貼り薬」があり、症状に合わせて医師が適切な薬を処方します。

また、先ほど説明した漢方薬も病院での処方が可能です。

体重増加だけでなく、ほてりやイライラ、不眠などがつらい人はぜひ気軽に相談してみてください。

よくある質問

ここからは、更年期の体重増加が止まらない人によくある以下の質問にお答えします。

  • 更年期で痩せる人と太る人の違いは何ですか?
  • 更年期で不健康に痩せる人の特徴は何ですか?

気になる疑問を解消し、健康管理に役立てましょう。

更年期で痩せる人と太る人の違いは何ですか?

更年期になっても健康的に痩せられる人はいます。更年期で痩せる人と太る人の違いは、以下の通りです。

  • 運動習慣があるか
  • どのような食事を摂っているか
  • ストレスを管理できているか

普段から運動習慣がある人は、更年期による体重増加を最小限に抑えられる傾向があります。食事面では、食べる順番や栄養バランス、甘いものの食べすぎなどに気を使っている人は痩せやすいでしょう。

また、ストレスが溜まりすぎると「イライラして食べすぎる」「生活リズムが崩れて太りやすい」などが起こりやすくなります。

忙しい更年期の女性は自分のケアがおろそかになりがちですが、できることから少しずつ気を付けてみてください。

更年期で不健康に痩せる人の特徴は何ですか?

更年期の影響で、不健康に痩せてしまう人もいます。

具体的には、女性ホルモンの減少や自律神経の乱れが「食欲低下」の方向に働くと、更年期による痩せが起こると考えられます。

更年期で痩せる人の特徴を、以下に紹介します。

  • 自律神経の乱れによる「神経性胃炎」が起こり、胃もたれや食欲低下が起きている
  • 更年期症状によって「やる気の低下」が起こり、食べる気にならない
  • 更年期とは関係のない別の病気で体重が落ちている
  • 普段からあまり食事を摂る習慣がない

半年間で5%を超える体重減少は、更年期によるものではない別の病気の可能性もあります。重大な病気が隠れている場合もあるため、気になる場合は早めに医療機関を受診しましょう。

自分に合った漢方・処方薬を見つけませんか?

更年期の体重増加は、女性ホルモンの減少や筋肉量の減少、更年期症状のイライラによる食べすぎなどによって起こります。

食事内容に気を付ける、運動量を増やすなどの対応をしても体重増加が止まらない場合は、更年期女性の健康に精通した専門医師に相談するのがお勧めです。

女性の身体、特に40〜50代の変化を理解した女性医師が、豊富な経験であなたに最適な治療プランを提案します。

オンライン診療だから安心して相談できます

ビバエルのオンライン診療では、まずは看護カウンセリングで、症状を把握しながら、あなただけの状況をゆっくりとお話を聞かせていただきます。その後、更年期専門医が最適な治療プランを提示します。

スマートフォンやパソコンで、ご自宅にいながら専門医に相談できます。

特徴

  • 時間や場所を気にせず相談できる
  • 専門の医療従事者がじっくり話を聞く
  • 症状に合わせたお薬を提案
  • 治療を開始したらお薬を自宅に届ける

まずは気軽にご相談ください

更年期の症状は放っておくと日常生活に影響が出てしまうことも少なくありません。しかし、適切なケアを受ければ、つらい症状は和らげることができます。

私たちの専門医が、あなたの症状や生活スタイルに合わせて、最適な治療法を提案させていただきます。まずは気軽にオンライン診療をお試しください。