40代半ば〜50代になると、生理周期が乱れたり経血量が変わったりして「前と違うけれど、閉経のサイン?」と不安になる方が増えてきます。
また、「生理前のイライラやモヤモヤが続くけど、PMSと更年期障害のどちらだろう」と戸惑う方も少なくありません。
この記事では、更年期に起こる生理の変化やPMSとの違い、放っておいてはいけない症状、治療法までわかりやすく解説します。
更年期の生理との付き合い方に悩む方は、ぜひ最後までお読みください。

更年期に起こる生理の変化
更年期になると卵巣機能が低下し、徐々に女性ホルモンが減少します。
その結果、生理にも変化があらわれます。まずは、更年期に起こる生理の変化を知っておきましょう。
更年期の仕組みについて詳しく知りたい方は【医師監修】更年期とは?をぜひお読みください。
【いつ来るかわからない】周期が不定期になる
更年期の生理に関する特徴のひとつが、「生理周期の乱れ」です。
もともと28日前後だった生理周期が、短くなったり長くなったりして、いつ来るのかわからない状態になります。
個人差はあるものの、初期は生理周期が短く、後期は長くなるケースが多く見られます。
生理周期が徐々に長くなり、1年生理が来ない状態になると「閉経」です。
生理期間が変わる
今まで3〜7日程度だった生理期間が、長くなったり短くなったりする方もいます。
生理期間が大きく変わると、以下の状態になるケースもあります。
- 過長月経:出血が8日以上続く
- 過短月経:出血が2日以内で終わる
期間が長くなって出血量が増えると、貧血になる可能性があります。今までよりも出血がダラダラと続いて体調が悪い場合は、一度受診するとよいでしょう。
経血の量が変わる
更年期になると、周期・期間に加えて経血自体の量が変化する方もいます。
通常、一回の生理による経血量は20~140mlとされています。
しかし、更年期によるホルモン変化によって「ドバドバ」と表現されるような多量の経血や、生理と不正出血で迷うような少ない経血になる方も珍しくありません。
経血量が大幅に増えた結果、今までと同じ生理用品ではうまく対処できなかったり、鉄欠乏性貧血になったりするケースもあります。
生理の時期以外に出血する
生理以外の期間に起こる性器からの出血を、「不正出血」といいます。
更年期になると卵巣機能の低下によって、以下のような不正出血が起こるケースがあります。
- 黄体機能不全による出血
- 月経周期の乱れにともなう月経前後での出血
- 無排卵による子宮内膜増殖症にともなう破綻出血
閉経に向かう過程で起こる問題のない出血のケースもありますが、子宮がんをはじめとする病気が隠れている可能性もあります。
不正出血がある場合は産婦人科を受診し、子宮がんがないか確認するとよいでしょう。
更年期の終わりについては、【医学博士が解説】更年期の「終わりのサイン」とは?更年期との付き合い方もぜひ参考にしてください
更年期とPMSの違い
PMSとは、月経前にあらわれるこころとからだの不調のことです。生理前3〜10日から気分の落ち込みやイライラ、腰痛、頭痛などがあらわれ、生理が始まると症状は軽くなるのが特徴です。
PMSのはっきりとした原因はわかっていませんが、女性ホルモンの変動が影響するといわれています。
更年期症状もこころやからだの不調を引き起こしますが、PMSとは以下の点が異なります。
- PMS:生理が始まると改善・消失する
- 更年期症状:生理が始まっても症状が続く
生理が始まっても気分の落ち込みがずっと続く場合は、PMSではなく更年期の影響かもしれません。
また、もともとPMSがある方は、更年期にPMS症状が悪化するケースもあります。
生理前以外でもイライラや不眠が続いたり、40代半ばごろからPMSが悪化したりする場合は更年期を疑って相談するのもひとつの方法です。
気分の落ち込みが更年期かPMSかを迷う方は、以下の記事も読んでみてください。
【医学博士監修 | おすすめ漢方】更年期の「やる気が出ない」「 何もしたくない」
更年期の生理で受診すべき症状
更年期による生理の変化は、大きな病気の初期症状である可能性もあります。
以下のような症状がある場合は、産婦人科の受診をおすすめします。
- 不正出血が続く
- 出血が多くて生活に支障が出る
それぞれの症状について、順番に説明します。
不正出血が続く
更年期以降は、がんをはじめとする婦人科腫瘍ができやすい年齢でもあります。
子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)が隠れている可能性があるため、不正出血が続く場合は一度受診しましょう。
子宮頸がんと子宮体がん、それぞれの特徴は以下のとおりです。
| がんの種類 | 特徴 |
|---|---|
| 子宮頸がん | 子宮の入口に近い所にできるがん |
| 子宮体がん | 子宮の内側にある「子宮内膜」から発生するがん |
自治体による子宮がん検診は、基本的に「子宮頸がん」のみの検査です。子宮体がんの検査は医師が「子宮体がんの検査が必要」と判断した方のみにおこなわれるため、検診で子宮体がんの有無を調べていないケースは珍しくありません。
また、検診を受けたあとにがんが発生した可能性も考えられるため、不正出血が続く場合は一度受診するとよいでしょう。
がん検診については、話そう!女性のカラダのコト⑭|検診でも紹介しています。
出血が多くて生活に支障が出る
出血量が多くて生活に支障が出る場合は、以下のような病気・トラブルが隠れているケースもあります。
| 病気・トラブルの名前 | 特徴 |
|---|---|
| 子宮筋腫 | 子宮の筋肉にできる良性の腫瘍 |
| 子宮腺筋症 | 子宮内膜に似た組織が子宮筋層にできる病気 |
出血量が多いと、生理用品の交換が間に合わなくて下着や洋服が汚れたり、鉄欠乏性貧血で体調が悪化したりする可能性があります。
子宮筋腫も子宮腺筋症も、治療によって生活の質を高めることが可能です。
「たかが生理」と思わず、産婦人科で一度相談してみてください。
鉄欠乏性貧血については、話そう!女性のカラダのコト⑬|心や体の不調でも紹介しています。
更年期の生理トラブルの治療法
更年期の生理トラブルには、以下のような治療法があります。
- ホルモン補充療法
- 黄体ホルモン製剤
- 漢方薬
- 看護カウンセリング
各治療法について、見ていきましょう。
ホルモン補充療法
ホルモン補充療法とは、更年期に不足しているエストロゲン(女性ホルモン)を飲み薬や貼り薬などで補充して体調を整える治療法です。
更年期の生理に関する困りごとを直接治療する薬ではありませんが、のぼせやほてり、不眠、憂うつなどのつらい更年期症状をやわらげる効果があります。
ホルモン補充療法については、【医学博士監修】ホルモン補充療法の効果が出るまで - 効果・やめどきなども解説で詳しく説明しています。気になる方はぜひお読みください。
黄体ホルモン製剤
女性ホルモンのうち、黄体ホルモン(プロゲステロン)のみを補充して、生理痛や経血量をおさえる治療法もあります。
使われる代表的な薬は、以下の2種類です。
| 薬の名前 | 特徴 |
|---|---|
| ジエノゲスト | 1日2回服用する黄体ホルモンの飲み薬 |
| 子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ) | 子宮内に装着するT字型の避妊リング |
ただし、黄体ホルモンは更年期で減少する「エストロゲン」とは種類が異なるため、更年期症状を直接やわらげる薬ではありません。
どのホルモン治療が適するかは、症状に応じて異なります。受診時に医師へ症状を伝えて相談してみましょう。
漢方薬
婦人科三大処方と呼ばれる以下の漢方薬で、症状が和らぐケースもあります。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
ただし、漢方薬は症状だけでなく、体質や体格などによっても合う薬が異なるため、医師は本人の状態を見て薬を処方します。また、婦人科三大処方ではない、ほかの漢方薬がよく効くケースもあります。
漢方薬は、産婦人科(医療保険または自費)や漢方薬局(自費)で処方可能です。
詳しくは【医師監修】更年期障害に効く漢方を症状別に紹介!飲むときの注意点は?もぜひ参考にしてください。
看護カウンセリング
看護カウンセリングとは、自分がどのような体調不良に困っているか、どれくらいつらいのかなどを医療者に話し、自分の考えを整理したり対応策をいっしょに考えたりする治療法です。
更年期の女性は、体調や生活、仕事など多くのストレスを抱えています。生理のトラブルや更年期の体調変化について相談する場所がなく、生理の不調を「仕方ない」と諦め、我慢しつづけるケースは珍しくありません。
更年期症状を悪化させたり、生理トラブルを招きやすい生活習慣を見直したりすることで、体調が良くなる方もいます。
生理の悩みに加えて更年期に起こりやすいほてりやのぼせ、不安感などに困っている方は、看護カウンセリングを検討してみてはいかがでしょうか。
看護カウンセリングについては、ビバエルの看護カウンセリングを詳しく解説で説明しています。

更年期の生理に関するよくある質問
更年期の生理に関してよくある質問にお答えします。
更年期で生理が来ない原因は何が考えられますか?
更年期で生理が来ない場合、以下のような原因が考えられます。
- 閉経が近づき、月経間隔が長くなった
- 妊娠している
- ストレスによる月経不順が起きている
今までと異なる生理の異常や気になる体調不良がある場合は、一度産婦人科へ相談しましょう。
更年期の生理にはどんな特徴がありますか?
更年期の生理には、以下のような特徴があります。
- 周期や期間が安定しない
- 経血量が安定しない
- 不正出血が起こりやすい
「経血量が多くて生活に支障が出る」「不正出血が続く」などの場合は、更年期以外の要因が隠れている可能性も考えられます。
一度受診して、大きな病気が隠れていないかを確認しておくとよいでしょう。
まとめ|更年期の生理トラブルはビバエルへご相談ください
更年期は、女性ホルモンが減少して閉経が近づき、生理の乱れが起きやすい時期です。代表的な変化は、生理周期の乱れ、生理期間の変化、経血量の変化、PMSの悪化などが挙げられます。
生理の変化は年を重ねるにつれて起こる自然な変化の場合もありますが、子宮がんをはじめとする大きな病気が隠れている可能性もあります。更年期になってから生理のトラブルが増えた、PMSがひどくなったなどの場合は、産婦人科を受診するとよいでしょう。
ビバエルは、更年期女性に寄り添うオンライン診療サービスです。診察と看護カウンセリングを組み合わせ、40~50分間じっくりと体調の変化や悩みを聞くことで、一人ひとりの症状をしっかりと把握し、体調に合わせた治療を提案します。
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更年期の生理やつらい症状にお悩みの方は、ぜひ一度相談してみてください。